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押出成形でコストダウン&品質向上!企業視点から見るVA/VE提案と生産効率化のポイント

はじめに

製造業の現場において、「コストを下げたいが、品質も落とせない」というジレンマは多くの企業にとって大きなテーマです。とりわけ、押出成形の分野では、長尺品や異形断面品、複合材料の成形などが求められます。
その結果、設計から製造、そして2次加工や検査・梱包に至るまで、さまざまな課題が山積みとなる場合があります。

ただし、VA/VE提案を活かして材料・設計・プロセスを最適化したり、生産ラインを効率化したりすることで、コストダウンと品質向上を同時に実現することは十分可能です。そこで、本コラムでは、企業視点での課題解決アプローチを具体的に解説していきます。

>>VA/VE提案事例

1. VA/VE提案で実現するコストダウンと機能向上

1-1. VA/VE(Value Analysis / Value Engineering)の基本

  • VA (Value Analysis):既存製品の機能やコストを分析し、価値向上の余地を探る手法
  • VE (Value Engineering):設計段階からコストと機能の最適化を追求する手法

押出成形においては、これらの手法を用いて以下のような改善が期待できます。

>>VA/VE(Value Analysis / Value Engineering)の基本(一般社団法人VE協会)

1. 材料選定の見直し

  • 金属から樹脂へ、硬質樹脂から複合材料へ置き換えることで軽量化や耐候性向上が可能。
  • 熱可塑性樹脂の改良グレード(難燃・帯電防止・UVカット等)で機能を強化しながらトータルコストを低減。

>>フィルム貼り成型によるSUS材の置き換え提案

2. 形状の最適化

  • 一体成形や複色成形を行い、部品点数や組み立て工数を削減。
  • 中空構造の活用で重量を抑えつつ、クッション性や剛性を確保。

>>発泡化成形による車体シール部品の軽量化

3. 製造プロセスの統合

  • 押出成形と同時にフィルム貼りや金属インサートなどを組み合わせ、後工程を減らす。
  • 自動化や専用治具の活用により、人件費削減やリードタイム短縮を実現。

ポイント
「どの工程でどのくらいのコストがかかっているか」を洗い出し、一つひとつの要素を分解・再設計することで、品質を維持しながらのコスト削減が可能になります。

>>シボ加工及びフィルム貼りでの美観性向上

2. 生産ライン効率化のメリット

2-1. 押出成形の自動化・ロボット化

押出成形品は長尺や異形断面のケースが多いです。そのため、自動化・ロボット化を取り入れると以下のようなメリットが得られます。

  • 24時間稼働:人手不足やシフト制の影響を受けずに安定した生産量を確保。
  • 品質ばらつきの低減:検査工程や搬送工程を自動化することでヒューマンエラーを削減。
  • トレーサビリティ向上:IoTセンサーなどで設備情報や稼働実績を可視化し、改善につなげやすい。

2-2. 一拠点完結によるリードタイム短縮

押出成形に関わる2次加工(穴あけ・切り欠き・切断等)や組み立て、梱包・出荷までを一括対応できる体制を整えれば、

  • 横持ちの運送コストを削減し、在庫も最小限に。
  • コミュニケーションや仕様変更時のリードタイムを大幅に短縮。
  • 一貫した品質基準を設定しやすく、クレームも減少。

結果として、生産性の向上とコストメリットの両方を得られる可能性が高まります。

2-3. 設備投資と運用効率のバランス

自動化やロボット導入には初期コストがかかりますが、ライン効率や品質面から生み出される長期的な費用対効果を考慮すると、十分投資に見合うメリットを得られるケースが多いです。特に大量生産品歩留まり改善が求められる分野では、導入効果が明確になりやすいです。

3. 国内生産と海外生産、どう見極める?

3-1. コスト要因だけでなく総合力で判断

海外生産は人件費が安いイメージが強いです。しかしながら、為替や関税、輸送費、リードタイム、在庫リスクなどを総合すると、必ずしも「海外が安い」とは限りません。また、品質管理少量多品種対応においては国内生産が有利な場合も多々あります。

>>為替や関税、輸送費、リードタイム、在庫リスク(JETRO海外生産拠点情報)

3-2. リードタイムと品質要求への対応

  • 短納期・在庫削減重視:国内生産の方が、需要変動に柔軟に対応しやすい。
  • 高品質が必須(自動車・医療・家電など):国内拠点での厳格な管理を行うと、不良リスクやクレームのコストを抑制。
  • 大ロット大量生産:輸送時間を許容できるなら、海外生産でコスト優位が出る場面も。

企業規模や製品特性、需要サイクルを踏まえ、海外と国内をうまく併用するのがカギです。

4. 押出成形で課題を解決し、企業価値を高める

ここまで紹介したVA/VE提案生産ライン効率化、そして国内外拠点の使い分けを総合的に組み合わせることで、以下のメリットが同時に実現しやすくなります。

  1. コストダウン:材料・設計・製造プロセスの最適化でトータルコストを削減。
  2. 品質向上:自動化・適切な生産拠点選択・厳格な管理体制で不良品率を低減。
  3. リードタイム短縮:一拠点完結体制や国内拠点の活用で、需要変動にも素早く対応。
  4. 差別化:機能付与や意匠性の向上、複数素材の複合成形により、競合他社との違いを打ち出しやすい。

「押出成形の課題を解決する」ことは、単なる部品調達のコストダウンだけでなく、最終製品の付加価値やビジネスの柔軟性を高める重要な要素となり得ます。

以上のように、総合的なアプローチが成功の鍵となります

  • VA/VE提案で材料や形状、工程を最適化し、コストと品質の両立を追求。
  • 生産ラインの効率化(自動化・ロボット導入、一拠点完結)で安定生産と短納期を実現。
  • 国内生産と海外生産を用途や需要に合わせて使い分け、グローバルな競争力を確保。

これらのポイントを総合的に組み合わせることが、押出成形プロジェクトを成功に導くカギとなります。もし、押出成形に関するコストダウンや品質課題でお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。貴社のニーズに合わせた最適解を、VA/VE提案と技術力を活かしてご提供いたします。

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材料選定から工程設計、QA/QC体制の構築まで、長年の実績を生かした最適なご提案をさせていただきます。

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