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押出成形の試作・開発完全ガイド:コスト削減と開発期間短縮のための実践テクニック

― 製品開発の鍵となる押出成形試作のすべて ―

製品開発において試作工程は成功への重要なステップです。特にプラスチック押出成形の世界では、試作の質が最終製品の品質とコストに直結します。このコラムでは、押出成形の試作について基礎から解説し、効率的な製品開発のポイントを紹介します。

1. 押出成形とは?基本原理を理解する

押出成形は、熱可塑性樹脂を加熱して溶融させ、金型(ダイ)を通して連続的に押し出すことで、一定の断面形状を持つ製品を作る成形方法です。

主な特徴

  • 連続生産が可能:理論上は無限の長さの製品を作れる
  • 複雑な断面形状に対応:中空形状や多層構造なども実現可能
  • 均一な品質:一度条件を安定させれば安定した品質を維持できる
  • 様々な素材に対応:PVC、PP、PE、ABS、PC、アクリルなど多様な樹脂を使用可能

2. なぜ押出成形の試作が重要なのか?

押出成形の試作は単なる形状確認以上の重要な役割を持ちます。

  1. 金型設計の検証:押出成形は金型形状が製品品質を大きく左右するため、試作による検証が不可欠
  2. 実際の材料での機能評価:硬さ、耐熱性、耐候性など実際の使用環境での性能を評価
  3. 生産性の事前確認:押出速度、冷却条件など量産時の生産性に関わる要素を事前検証
  4. コスト見積もりの精度向上:材料使用量や生産効率を実測することで、より正確なコスト算出が可能

3. 押出成形試作の一般的なプロセス

押出成形の試作は一般的に以下のステップで進めます。

  1. 要件定義:用途、寸法、材料特性、生産数量などの要件を明確化
  2. 断面設計:CADによる断面形状の設計、肉厚や強度の検討
  3. 金型(ダイ)設計:製品断面に合わせた金型設計、材料の流れや金型強度を考慮
  4. 金型製作:職人による機械加工による金型の製作
  5. 試作押出:実際の押出機を使用した試作品の製作
  6. 評価・改良:寸法精度、外観、機能性などを評価し、必要に応じて金型や条件を改良
  7. 量産準備:試作結果を基に量産条件を決定、工程構築

4. 押出成形試作の種類と選択基準

押出業界では、目的に応じて異なる試作アプローチが用いられています。

①簡易金型による試作

  • 特徴:低コスト・短納期で形状確認が可能
  • メリット:初期投資を抑えられる
  • デメリット:量産時には新たに金型投資が必要
  • 適している場合:コンセプト確認段階、複数の設計案を比較したい場合

②量産金型による試作

  • 特徴:量産と同じ金型を使用
  • メリット:そのまま量産に移行できる、実際の製品品質を正確に評価できる
  • デメリット:初期投資が大きい
  • 適している場合:量産が確定している、高い精度や品質が要求される場合

③3Dプリンタなど代替技術での試作

  • 特徴:金型不要で形状を再現
  • メリット:低コスト・短納期
  • デメリット:材料特性や寸法精度が本番と異なる
  • 適している場合:概念実証段階、形状確認のみが目的の場合

5. 押出成形試作のコストと納期の目安

押出成形の試作コストと納期は、サイズや複雑さによって大きく変動します:

製品サイズ金型費用の目安標準的な納期
小型(~20mm)5~15万円2~4週間
中型(20~50mm)15~40万円4~6週間
大型(50~100mm)40~100万円4~8週間
特大(100mm~)100万円~6~8週間

※複雑形状(中空、多層構造等)の場合は上記より高額になる傾向があります。 ※特急対応の場合は追加費用で納期短縮が可能な場合があります。

6. 押出成形試作で注意すべきポイント

①材料選択の重要性

樹脂の種類によって流動性、収縮率、強度特性が大きく異なります。目的に合った材料選択が重要です。

②肉厚設計の最適化

均一な肉厚設計が基本ですが、部分的に厚くする必要がある場合は、材料の流れや冷却速度を考慮する必要があります。

③金型設計の精度

押出成形では金型(ダイ)形状がそのまま製品形状になるため、金型精度が製品品質を左右します。

④試作条件と量産条件の整合性

試作時の押出条件(温度、速度など)と量産時の条件に大きな差がないよう注意が必要です。

7. 押出成形試作から量産へのスムーズな移行

試作から量産へ移行する際に考慮すべき重要なポイント:

  1. 金型の再利用:試作金型が量産にも使えるか事前確認
  2. 材料の安定調達:量産時に同じ材料が安定して調達できるか確認
  3. 品質管理体制:量産時の品質を維持するための管理項目と方法の確立
  4. コスト最適化:材料使用量、サイクルタイム、歩留まりなどの最適化

8. 当社の押出成形試作サービスのご紹介

当社では、プラスチック押出成形の試作開発において他社にはない強みをご提供しています:

当社の独自アプローチ:「試作金型=量産金型」

多くの押出成形メーカーでは、試作用と量産用で別々の金型を作るケースが一般的です。しかし当社では、最初から量産を見据えた金型設計・製作を行うことで、追加金型投資なしで試作から量産へスムーズに移行できます。

当社の押出成形試作サービスの特徴

  • 金型費:小型 5万円~ / 中型 15万円~ / 大型 40万円~ / 特大 100万円~
  • 標準納期:4~6週間(単純形状の場合)/ 特急対応:最短2週間も可能
  • 実績:累計 2,000型以上の豊富な経験
  • 対応サイズ:Φ2mmから W150mmまでの幅広いサイズに対応
  • 特殊技術:金属インサート、フィルム貼り、2色・3色成形、中空形状など

お客様の声

「他社では試作と量産で二度金型投資が必要でしたが、御社のアプローチで開発予算を大幅に削減できました。しかも品質も申し分なく、納期も守っていただき感謝しています」(自動車部品メーカー A社様)

9. まとめ:押出成形試作成功のカギ

押出成形の試作は製品開発の成否を左右する重要工程です。

重要なポイントをまとめると

  1. 目的を明確にし、適切な試作方法を選択する
  2. 材料選定と断面設計を慎重に行う
  3. 金型精度と試作条件に注意を払う
  4. 量産を見据えた試作計画を立てる
  5. 経験豊富な専門家に相談する

当社では、押出成形の試作から量産まで一貫してサポートしています。「この形状は製造できるのか」「コストを抑える方法は」など、製品開発でお悩みの際はぜひご相談ください。

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押出成形に関するご質問や課題がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 材料選定から工程設計、QA/QC体制の構築まで、長年の実績を生かした最適なご提案をさせていただきます。

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