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ポリエチレン(PE)製品の設計において、HDPEとLDPEのどちらを選ぶべきか、迷う場面は少なくありません。同じPEでも密度の違いによって物性が大きく異なり、最適な材料選定が製品の品質とコストを左右します。本記事では、PE押出成形の基礎からHDPE・LDPEの特性比較、用途別の選定基準まで体系的に解説します。

ポリエチレン(PE)は、エチレンを重合して得られる熱可塑性樹脂です。世界の合成樹脂生産量の約30%を占め、汎用プラスチックの代表格として位置づけられています。
PEが幅広く採用される理由は、優れたコストパフォーマンスにあります。原料が安価で加工しやすく、かつ実用上十分な物性を備えています。さらに、重合条件によってHDPE(高密度ポリエチレン)やLDPE(低密度ポリエチレン)など多様なグレードを作り分けられる点も大きな特長です。
ポリエチレン押出が多くの製品で採用される理由は、以下の3点に集約されます。
1. 溶融粘度の安定性
PEは溶融時の粘度変化が緩やかです。このため押出成形時の寸法精度を確保しやすい特長があります。成形温度の多少の変動に対しても安定した押出が可能です。
2. 成形温度帯の広さ
PEの押出成形温度は一般に150〜230℃の範囲で設定されます。この温度帯は制御しやすく、設備への負荷も比較的低く抑えられます。
3. 二次加工との相性の良さ
PEは溶着・接着・切削加工などの二次加工に適しています。押出成形後の穴あけやカット加工も容易に行えます。
PE樹脂が押出成形に適している背景には、以下の基本特性があります。
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 耐薬品性 | 酸・アルカリ・有機溶剤に対して高い耐性 |
| 電気絶縁性 | 体積抵抗率が高く、電気部品にも使用可能 |
| 軽量性 | 密度0.91〜0.97g/cm³で金属より大幅に軽い |
| 耐水性 | 吸水率が極めて低く、水回り製品に最適 |
| 耐寒性 | 低温環境でも脆化しにくい |
これらの特性により、PEは配管材・工業部品・日用品など幅広い分野で押出成形品として活用されています。

HDPE(高密度ポリエチレン)は、密度0.94〜0.97g/cm³の範囲にある剛性の高いPEです。分子構造の分岐が少なく、結晶化度が高いことが特徴です。
HDPEの代表的な物性値
| 物性項目 | 数値(参考値) |
|---|---|
| 密度 | 0.94〜0.97 g/cm³ |
| 引張強度 | 22〜31 MPa |
| 曲げ弾性率 | 800〜1,500 MPa |
| 耐熱温度(連続使用) | 80〜100℃ |
| 成形収縮率 | 1.5〜3.0% |
| 押出成形温度 | 180〜230℃ |
成形時の注意点
HDPEは結晶化度が高いため、成形収縮率が大きくなる傾向があります。冷却速度のコントロールが寸法精度に直結するため、冷却水槽の温度管理や引取速度の調整が重要です。また、収縮率を見込んだ金型設計が不可欠となります。
HDPEの剛性と耐薬品性を活かした押出成形品は、以下のような用途で採用されています。
特に耐圧性や剛性が求められる工業用途では、HDPEが第一選択となるケースが多く見られます。

LDPE(低密度ポリエチレン)は、密度0.91〜0.93g/cm³の柔軟なPEです。分子構造に多くの分岐を持ち、結晶化度が低いことでしなやかな特性が生まれます。
LDPEの代表的な物性値
| 物性項目 | 数値(参考値) |
|---|---|
| 密度 | 0.91〜0.93 g/cm³ |
| 引張強度 | 8〜15 MPa |
| 曲げ弾性率 | 150〜350 MPa |
| 耐熱温度(連続使用) | 70〜80℃ |
| 成形収縮率 | 1.5〜3.5% |
| 押出成形温度 | 150〜200℃ |
LDPEはHDPEに比べて成形温度が低く、エネルギーコストの面でも有利です。また、透明性が比較的高く、内容物の視認が必要な用途にも対応できます。
LDPEの柔軟性と加工性を活かした製品は、以下の分野で広く使われています。
LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)は、LDPEと同程度の密度ながら、分子構造が直鎖状で強度が高い樹脂です。
LLDPEの主な特性
LDPEとLLDPEの使い分け基準
引張強度や耐突刺し性が求められる薄肉フィルムでは、LLDPEが選ばれる傾向にあります。一方、柔軟性や加工性を重視する場合はLDPEが適しています。用途に応じてLDPEとLLDPEを使い分けることで、より最適な製品設計が可能となります。

PE材料の選定は、製品に求められる性能を明確にすることから始まります。
HDPEを選ぶべきケース
LDPEを選ぶべきケース
HDPE・LDPEの主要特性を比較表にまとめました。材料選定の参考としてご活用ください。
| 比較項目 | HDPE | LDPE |
|---|---|---|
| 密度 | 0.94〜0.97 g/cm³ | 0.91〜0.93 g/cm³ |
| 引張強度 | 22〜31 MPa | 8〜15 MPa |
| 柔軟性 | 低い(硬い) | 高い(柔らかい) |
| 耐熱温度 | 80〜100℃ | 70〜80℃ |
| 透明性 | 低い | やや高い |
| 成形温度 | 180〜230℃ | 150〜200℃ |
| 成形収縮率 | 1.5〜3.0% | 1.5〜3.5% |
| 材料単価 | やや高い | 標準的 |
実際の製品設計では、「HDPEでは硬すぎるがLDPEでは強度不足」といったケースも発生します。このような場合、中密度ポリエチレン(MDPE)の採用や、グレード選定の見直しで解決できることがあります。
材料選定に迷う場合、押出成形の専門企業に相談することで解決できます。当社では、2,000型以上の金型実績をもとに、他社で断られた難形状の成形や複雑な要求への対応を行っています。試作段階から量産・二次加工まで一貫して対応できる体制を整えており、材料選定を含むVA/VE提案も可能です。
「この形状は成形できるか」「HDPEとLDPEのどちらが最適か」といったご相談にも対応いたします。設計初期段階からお声がけいただくことで、コストと品質の両立を実現しやすくなります。
PE押出成形では、HDPEとLDPEの特性を正しく理解し、製品要求に合った材料を選定することが重要です。
HDPEは剛性・耐熱性・耐薬品性に優れ、パイプや構造部品に適しています。一方、LDPEは柔軟性・加工性・耐寒性が特長で、チューブや軟質プロファイルに最適です。さらに、強度と柔軟性のバランスが求められる場合には、LLDPEの採用も検討できます。
材料選定で迷った場合は、試作段階で複数のグレードを検証することをおすすめします。当社では試作から量産、穴あけ・カットなどの二次加工まで一貫対応が可能です。PE押出成形に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
押出成形に関するご質問や課題がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 材料選定から工程設計、QA/QC体制の構築まで、長年の実績を生かした最適なご提案をさせていただきます。

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