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押出成形トラブル集|5ステップで解決する寸法不良・外観不良

押出成形の不良は、症状の見極めと、可変条件に触る順番がポイントとなります。正確に原因個所を特定できれば短時間で収束できます。本記事では「寸法バラツキ・反り曲がり・波打ち/縞・異物・肌荒れ・テカリ/凹み」を、チェックリスト → 原因 → まず試す対策の順で解説します。現場でそのまま使える要点のみを整理しました。

    1. トラブルシューティングフローチャート

    【不良発生】
        ↓
    [症状の確認]
        ├─ 寸法系 → 押出量・引取・真空を確認
        ├─ 形状系 → 冷却・ガイドを確認
        └─ 外観系 → 材料・金型・冷却を確認
             ↓
    [優先順位に沿った対策実施]
        1. 冷却条件 → 2. 引取速度 → 3. 真空・サイジング → 4. 押出量 → 5. 口金温度
             ↓
    [効果確認・記録]
    

    2. 症状から当たりを付けるチェックリスト

    症状外観の特徴起点になりやすい領域初期確認ポイント
    寸法バラツキ断面寸法が不均一、周期的な太り/痩せ押出量の脈動・引取・真空・温度メルト圧の変動/スクリーン詰まり/引取速度の安定/真空漏れ/サイジング当たり/シリンダ温度
    反り・曲がり直線性が崩れ曲がる冷却・ガイド・肉厚差冷却位置と強さ/ガイド直線性/肉厚急変部
    波打ち・縞表面に周期的な縞・うねり押出量の脈動・引取の微振動・サイジングでの抵抗スクリュ回転の同調/引取ローラの偏摩耗/サイジング位置/吐出量
    異物点状の黒点・白点・繊維片材料・金型口金・水系材料異物混入/口金清掃/冷却水のフィルタ・循環
    肌荒れ表面ざらつき・梨地化冷却・口金状態・表面張力・乾燥機・ヒーターオーバーヒート口金リップの傷/初段冷却のムラ/空冷・水冷の切替位置/乾燥不足/押出機の温調器故障
    テカリ・凹み局所的な光沢差・窪み口金設計・冷却金型とサイジングの設計値と製品の寸法差/水温/金型オーバーヒート

    3. 原因の全体像(5レイヤー)

    1. 材料(乾燥・配合・ロット差・清浄度)
    2. 金型設計(圧縮比、リップ状態、フロー配分)
    3. サイジング(真空量、当たり、密閉性、冷却経路)
    4. 冷却(媒体、温度、流量、位置、切替タイミング)
    5. ライン条件(押出量、シリンダ温度、口金温度、引取速度、ガイド)

    4. まず試す5ステップ(可変条件の優先順位)

    1. 冷却条件の均し:媒体温度・流量・サイジング位置の左右差を是正
    2. 引取速度の最適化:冷却が十分な引取速度で引く/速度の微修正
    3. 真空・サイジングの密閉性チェック:漏れ・当たりムラを調整
    4. 押出量の平滑化(吐出ムラ対策):スクリュ回転の安定化/背圧を適正化してメルト圧を一定化/スクリーンパック交換/ホッパー架橋・供給ムラの解消
    5. 口金温度の微調整:吐出直後の安定を確認

    5. 症状別:原因と対策

    5-1. 寸法バラツキ

    主因

    • 押出機の吐出ムラ(原料供給ムラ、スクリーン詰まり、スクリュ摩耗、温度帯ミスマッチによる粘度変動、メルト圧変動)
    • 引取速度の変動、ローラの偏摩耗やスリップ
    • 真空漏れ、サイジング当たりムラ
    • 口金〜サイジング〜切断までの温度分布差、ガイド直線性不足

    まず試す対策

    • スクリュ回転の揺れを抑える(回転数の制御・変動幅点検)
    • 背圧を適正化しメルト圧を安定化
    • スクリーンパックの交換/清掃
    • ホッパー架橋対策、乾燥・供給条件の見直し
    • 引取速度のフィードバック点検、ローラの偏摩耗・スリップ対策
    • 真空パッキン・配管漏れ点検、当たりの均一化
    • 左右の冷却温度・流量差を均す

    5-2. 反り曲がり

    主因

    • 冷却位置・強さの左右差による収縮差
    • 肉厚急変、ガイド当たり、内部応力の偏り

    まず試す対策

    • 初段冷却を弱める/位置を下げるなど凝固点を調整
    • ガイド当たりを滑らかにし、方向性のある引張を減らす
    • 設計側で肉厚急変部にRやテーパーを付与

    5-3. 波打ち・縞

    主因

    • 押出量の脈動、引取の微振動、表面張力の周期ムラ

    まず試す対策

    • スクリュ回転数を微調整して共振帯を外す
    • 引取速度を少し上げる/下げる両方試して最小振幅点を探索
    • 冷却ノズル角度・距離を変えて表面張力の周期性を崩す

    5-4. 異物

    主因

    • 材料由来の微粒、口金・サイジングでの焦げや昇華物、冷却水由来

    まず試す対策

    • 材料搬送ライン・乾燥機・ホッパの清掃、袋替え時の粉落ち対策
    • 口金リップ・サイジング面の清掃と微細傷の当たり取り
    • 冷却水フィルタの点検・循環更新、気泡巻き込みの抑制

    5-5. 肌荒れ(表面のざらつき・梨地化)

    主因

    • 口金リップ傷、冷却ムラ、微細気泡、添加剤ブリード

    まず試す対策

    • 口金リップの擦り合わせ・鏡面度の回復
    • 初段を空冷↔水冷で切替し、凝固条件を整える
    • 材料乾燥条件の再確認、滞留・過熱の回避

    5-6. テカリ・凹み

    主因

    • 冷却の位置・強さの不均一による凝固速度差
    • 口金リップの傷・偏摩耗、フロー配分の偏り(口金設計起因)
    • サイジングの局所当たり、温度過低での早期固化
    • 固化前の過度な延伸による内部応力偏り

    まず試す対策

    • 水温・流量の左右差を是正、初段冷却の位置を微調整(空冷↔水冷)
    • 口金リップの清掃・当たり取り、吐出面のフロー均し
    • サイジング当たりを軽く均一にし、局所押し痕を回避
    • 金型温度・口金温度を±5〜10℃で微調整し、表面の凝固タイミングを揃える
    • 引取速度を微修正し、固化前の過度な延伸を避ける
    • 設計可能なら、肉厚急変部にR/テーパーを付与して応力集中を緩和

    6. 樹脂別の傾向と勘所(当社実績材ベース)

    TPE(TPO・TPV・TPS・TPU):柔らかく伸びやすい。引取過多に注意。

    PVC:水冷適性が高い。過冷却は内部応力→反りの原因。

    ABS:光沢ムラは冷却ムラが主因。ガス焼け・黄変に注意。

    PC:吐出安定性に敏感。口金温度と初段冷却の合わせが肝。

    PE/PP:結晶化収縮差で反りやすい。冷却位置と引取のバランスが重要。

    PMMA/PMMA(SA):透明材は微傷・微泡が目立つ。口金・水質管理を厳密に。

    7. 設計・見積り段階での未然防止

    • 肉厚急変の緩和
    • 機能性と成形性を両立した断面設計
    • サイジング当たり計画(負荷の一点集中を避ける)
    • 二次加工(挿入・曲げ・穴あけ)を見据えたガイド/基準面の付与
    • ロット差を見込んだ公差設計(量産センタリングの余裕を確保)

    8. よくある質問(FAQ)

    • 最小ロットは?
      • 材料25kgから目安対応。試作は短尺でも可。
    • 図面が無くても対応できる?
      • 現物サンプル・簡易スケッチで再現可能。
    • 見積に必要な情報は?
      • 形状、材質、数量、二次加工、納入先。図面がなくても写真のみのも対応。
    • コストを下げるコツは?
      • 肉厚急変の緩和、ロット設計、二次加工の一貫化。
    • 納期の目安は?
      • 試作2~6週、量産4~8週(要件次第)。

    9. 関連記事

    10. 当社の使用樹脂例

    11. 専門用語解説

    • サイジング (Sizing Die / Calibrator): 金型から押し出された溶融樹脂を、真空吸引や冷却によって最終的な製品形状・寸法に整えるための治具。
    • 背圧 (Back Pressure): 押出機内で、スクリュの回転によって材料を先端に送る力に対抗する方向にかかる圧力。樹脂の混練度や計量安定性に影響する。
    • メルト圧 (Melt Pressure): 金型の直前で、溶融した樹脂(メルト)が示す圧力。この圧力の安定が、吐出量の安定、ひいては製品寸法の安定に繋がる。
    • スクリーン (Screen) / スクリーンパック (Screen Pack): 押出機の先端に設置される金属製の網(フィルター)。溶融樹脂内の異物を除去したり、背圧を調整したりする役割を持つ。
    • ブリード (Bleed) / ブリードアウト (Bleed Out): 樹脂に含まれる添加剤(可塑剤、滑剤、帯電防止剤など)が、時間経過や環境変化によって製品表面に染み出してくる現象。肌荒れやベタつきの原因となる。

    12. この記事の監修者

    [監修者プロフィール]

    氏名: 熊谷 正行
    所属・役職: 技術部 部長
    経歴・実績:出成形一筋30年のベテラン技術者。特にPVCやPCの硬質樹脂から軟質樹脂までの異形押出を得意とし、これまで500件以上の新規金型立ち上げに携わる。
    監修者からの一言: 「押出成形のトラブルは、一つ一つの事象を丁寧に観察し、正しい順番で対策を打てば必ず解決できます。この記事が、現場で奮闘されている皆様の課題解決の一助となれば幸いです。」

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