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押出成形できる形状とは?OK・NG事例集

押出成形で作れる形状・作れない形状の判断基準

製品設計の現場では、図面を引く前に成形可否の疑問が必ず生じます。金型投資の前に成形可否を見極めることは、開発コストを左右する重要な判断です。

本記事では、押出成形で「作れる形状」と「作れない形状」の境界線を、具体的な事例とともに解説します。複雑断面の実現方法やNG形状の代替策まで網羅しますので、断面設計の参考にしてください。

押出成形で「作れる形状」の基本条件とは

押出成形できる形状とは?OK・NG事例集 - 押出成形で「作れる形状」の基本条件とはのインフォグラフィック
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断面が一定であれば基本的にOK

押出成形の最大の特徴は、溶融樹脂を金型(ダイス)から連続的に押し出す点にあります。このため、長さ方向に断面形状が変わらない製品であれば、基本的に成形可能です。

具体的には以下のような形状が該当します。

形状タイプ 代表例 適用製品
丸パイプ 単純円形断面 配管、ケーブル保護管
角パイプ 正方形・長方形断面 建材フレーム、機械カバー
異形断面 L字・コの字・複雑形状 サッシ枠、装飾モール
中空多室 複数の空洞を持つ断面 断熱材、軽量構造材

射出成形との違いも理解しておくと判断がしやすくなります。射出成形は型内に樹脂を充填して冷却するため、三次元的な複雑形状に対応できます。一方、この工法は「二次元断面の連続押し出し」であり、長尺品を効率良く生産できる点が強みです。

つまり、**「断面図だけで形状が表現できる製品」**が対応可能な範囲と考えてください。

長尺・連続生産に向く形状の特徴

特に力を発揮するのは、以下の特徴を持つ製品です。

1. 長さが必要な製品
1m以上の長尺品に最適です。PVC(ポリ塩化ビニル)やABS樹脂を用いた建材モールディングでは、4〜6mの定尺品が一般的に生産されています。

2. 大量生産が見込める製品
連続成形のため、ロット数が増えるほど単価が下がります。目安として月産1,000m以上の製品では、射出成形よりコストメリットが出やすい傾向にあります。

3. 軽量化が求められる製品
中空構造やリブ構造を断面に組み込むことで、強度を保ちながら軽量化を実現できます。

異形押出で実現できる複雑断面のOK事例5選

押出成形できる形状とは?OK・NG事例集 - 異形押出で実現できる複雑断面のOK事例5選のインフォグラフィック
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「異形押出」とは、円形や四角形ではない複雑な断面を成形する技術です。一見難しそうに見える形状でも、金型設計と成形条件の工夫次第で実現可能なケースは多くあります。

中空・多室構造の成形事例

事例1:多室構造の断熱フレーム

窓サッシやパーティション部材に使われる多室中空構造は得意分野です。PC(ポリカーボネート)やPVC樹脂を使用し、3〜5室の中空断面を一度に成形できます。

当社では、肉厚0.8mmの薄壁で仕切られた4室構造の断熱フレームを量産した実績があります。中空率60%以上を確保しながら、必要な剛性を維持する断面設計がポイントです。

事例2:ケーブル保護用異形チューブ

楕円形や小判型など、円形以外のチューブ形状も成形可能です。PP(ポリプロピレン)製の扁平チューブでは、外径10mm×5mm程度の薄型断面で、配線スペースの制約がある機器内部への適用実績があります。

硬軟一体・金属インサートの複合形状

事例3:硬軟二色一体成形

硬質部分と軟質部分を同時に成形する「硬軟二色押出」は、複合機能を持つ製品に有効です。

例えば、PVC硬質(ショアA硬度90以上)の芯材に、TPE(熱可塑性エラストマー、ショアA硬度60〜70)のパッキン部を一体化したサッシ部材があります。従来は別部品を組み立てていた製品を一体化することで、組立工数削減と水密性向上を両立できます。

当社では硬軟二色押出の金型設計から量産まで対応しており、ショアA硬度60〜95の範囲で硬度差のある樹脂の同時成形を数多く手がけています。

事例4:金属芯材インサート成形

アルミや鉄の芯材を樹脂で被覆する成形も可能です。スチール芯材(幅15mm×厚さ1mm)をPVC樹脂で完全に包み込んだモールディングは、強度と意匠性を兼ね備えた部材として使用されています。芯材の予熱温度は80〜100℃が目安であり、樹脂との密着性を確保する重要な工程です。

薄肉・リブ付き断面の成功パターン

事例5:薄肉リブ構造の軽量パネル

肉厚1.0mm以下の薄肉部とリブ(補強壁)を組み合わせた断面は、軽量化と剛性確保の両立に有効です。

ABS樹脂では最小肉厚0.6mm程度まで成形可能ですが、樹脂の流動性と冷却バランスの調整が必要になります。当社では、成形温度200〜220℃、引取速度3〜5m/分の条件で安定生産を実現しています。

また、フィルム貼り成形技術を用いることで、薄肉部品の表面に加飾フィルムや保護フィルムを成形と同時に積層することも可能です。自動車内装材のドアトリムやピラーガーニッシュなど、塗装や後貼り工程を省略できるため、トータルコスト削減につながります。

押出成形の形状制限:難しい形状・NG事例と代替策

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押出成形できる形状とは?OK・NG事例集 – 押出成形の形状制限:難しい形状・NG事例と代替策のインフォグラフィック

原理上の制約があり、すべての形状に対応できるわけではありません。ただし、設計変更や工法の組み合わせで解決できるケースも多くあります。

断面変化・アンダーカットがNGになる理由

NG形状1:長さ方向で断面が変化する形状

テーパー形状(先端に向かって細くなる形状)や、途中で断面積が増減する形状は対応できません。金型(ダイス)は固定された開口形状のため、押し出し方向に断面変化を与えることは原理的に不可能です。

NG形状2:アンダーカット形状

断面内に凹んだ部分(アンダーカット)があると、金型から製品を引き抜けないため成形できません。例えば、ダルマ型のくびれ形状や、内側に突起がある中空形状がこれに該当します。

NG形状3:極端な肉厚差

同一断面内で肉厚が大きく異なる形状(例:0.5mm部と5mm部が隣接)は、冷却速度の差によるヒケ(凹み)や反りが発生しやすくなります。肉厚比は1:3以内に抑えることが設計の目安です。

NG形状 理由 対応可能性
テーパー形状 断面一定の原則に反する 二次加工で切削対応
アンダーカット 金型から離型不可 分割成形+組立
極端な肉厚差 冷却不均一でヒケ・反り発生 設計変更で肉厚均一化

形状制限を回避する設計変更例

NG形状であっても、以下のアプローチで実現できる場合があります。

代替策1:二次加工の追加

テーパー形状が必要な場合、まず断面一定の押出品を成形し、後工程で切削加工を行う方法があります。当社ではインライン加工設備を備えており、成形ラインで穴あけや切断を同時に行えます。

代替策2:分割設計+組立

アンダーカットを含む複雑形状は、2〜3パーツに分割して成形し、後工程で接着や嵌合で組み立てる方法が有効です。接着にはウレタン系接着剤を使用し、せん断強度5MPa以上を確保できます。

代替策3:肉厚の均一化提案

極端な肉厚差がある設計図面に対して、機能を損なわない範囲で肉厚均一化を提案するVA/VE活動も重要です。当社では、金型設計段階でこうした提案を行い、成形性と製品機能の両立を図っています。

「作れるかどうか」を判断する3つのチェックポイント

押出成形できる形状とは?OK・NG事例集 - 「作れるかどうか」を判断する3つのチェックポイントのインフォグラフィック
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金型投資の前に、成形可否を自分で判断できるとプロジェクトが効率的に進みます。以下のチェックポイントを活用してください。

断面設計時のセルフチェック項目

チェック1:断面が長さ方向で一定か

製品図面を見て、どの位置で切っても同じ断面が出るか確認してください。一箇所でも断面が変わる部分があれば、その部分は対象外となります。

チェック2:肉厚バランスは適切か

断面内の最大肉厚と最小肉厚の比率を確認してください。1:3以内であれば成形しやすく、1:5を超えるとヒケや反りのリスクが高まります。

チェック3:アンダーカットはないか

断面図を見て、内側に凹んだ形状や袋小路状の空間がないか確認してください。存在する場合は、形状変更または分割設計を検討する必要があります。

チェック項目 合格基準 注意点
断面一定性 長さ方向で断面変化なし 端部のテーパーもNG
肉厚比 1:3以内推奨 1:5超はヒケリスク大
アンダーカット なし ありの場合は分割検討

他社で断られた形状でも諦めない理由

上記のチェックで懸念がある形状でも、すぐに諦める必要はありません。

当社では、他社で断られた案件を数多く受け入れてきた実績があります。断られる理由の多くは、設備能力や金型設計技術の制約に起因します。2,000型以上の金型製作実績を持つ当社では、難形状に対する金型設計ノウハウが蓄積されています。

例えば、ある照明器具メーカーから「5社に断られた」という硬軟一体のカバー部材を受注したケースがあります。硬質PVCと軟質TPEの同時押出に加え、表面にフィルム貼り成形を施すという複合加工でした。金型設計を見直し、成形温度と引取速度の最適化を行った結果、量産化に成功しました。

複雑な断面形状や特殊な材料の組み合わせでお悩みの場合は、当社へご相談ください。VA/VE提案を含め、実現可能な方法を一緒に検討いたします。

まとめ

押出成形で作れる形状は、「断面が一定であること」が大前提です。この条件を満たせば、中空構造・複雑異形・硬軟一体・金属インサートなど、幅広い形状に対応できます。

一方、テーパー・アンダーカット・極端な肉厚差を含む形状は、原理上の制約から成形困難です。ただし、設計変更や二次加工との組み合わせで実現できるケースも多くあります。

本記事のチェックポイントを活用して成形可否を判断し、複雑形状や特殊材料の組み合わせでお悩みの際は当社までご相談ください。豊富な金型設計実績と成形技術で、最適なソリューションをご提案いたします。

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