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押出成形を検討する際、「金型費用はどの程度かかるのか」という疑問は避けて通れません。射出成形と比較して初期投資が抑えられる押出成形ですが、断面形状や設計仕様によって金型費用は大きく変動します。本記事では、金型費用を左右する設計要素を技術的な視点から解説します。設計段階でのコストダウンのヒントや、見積依頼時に押さえるべきポイントまで網羅していますので、ぜひ参考にしてください。

押出成形の金型費用を正しく理解するには、まずその構成要素を把握する必要があります。ここでは費用の内訳と、射出成形との比較を通じてコスト感を解説します。
押出金型の費用は、主に以下の4つの要素で構成されます。
| 構成要素 | 内容 | 費用への影響度 |
|---|---|---|
| 設計費 | 断面形状の検討、樹脂流動解析、図面作成 | 中 |
| 材料費 | 金型用鋼材(SKD61、SUS420J2など) | 中〜高 |
| 加工費 | ワイヤーカット、放電加工、研削加工 | 高 |
| 調整費 | 試作・樹脂流れ調整・寸法修正 | 中 |
設計費は断面の複雑さに比例して増加します。材料費は金型サイズと使用鋼材のグレードで決まります。加工費は最も大きな割合を占め、精密な形状ほど加工時間が長くなります。調整費は実際に樹脂を流してみないと分からない部分があり、複雑形状では追加調整が発生しやすい傾向があります。
押出成形と射出成形では、金型費用に大きな差があります。
| 項目 | 押出成形 | 射出成形 |
|---|---|---|
| 金型費用の目安 | 15万〜80万円程度 | 50万〜500万円以上 |
| 金型構造 | ダイ(平板状)が基本 | 型締め機構・コア・キャビティ |
| 製品形状 | 長尺の連続断面形状 | 三次元の複雑形状 |
射出成形は三次元形状を成形するため、金型構造が複雑になります。一方、押出成形はダイと呼ばれる比較的シンプルな構造の金型を使用します。そのため、同程度の製品サイズであれば、初期費用を1/3〜1/5程度に抑えられるケースが多いです。
長尺部品や断面が一定の製品であれば、押出成形を選択することで初期投資を大幅に削減できます。

押出金型の費用は、断面形状の複雑さによって大きく変動します。ここでは、コスト増につながる技術的な理由を解説します。
1. 加工工数の増加
複雑な断面形状は、ワイヤーカットや放電加工の工程が増えます。細かい凹凸や入り組んだ形状は、加工機のプログラミングにも時間がかかります。単純な矩形断面と比較して、加工時間が2〜3倍になることも珍しくありません。
2. 樹脂流動調整の難易度上昇
押出成形では、ダイ内部を流れる樹脂の速度を均一にする必要があります。複雑形状では樹脂の流れが偏りやすく、調整に熟練の技術と時間を要します。PVC(ポリ塩化ビニル)では成形温度160〜190℃、ABS樹脂では200〜240℃の範囲で調整を行いますが、形状によっては最適条件の導出に複数回の試作が必要です。
3. 歩留まりへの影響
複雑形状は寸法安定性を確保しにくく、成形初期の不良率が高くなる傾向があります。この不良率を下げるための金型修正が追加コストとなります。
断面形状のタイプ別に、コストへの影響を整理します。
| 形状タイプ | 金型費用への影響 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 中空断面 | +30〜50% | マンドレル(中子)の追加製作が必要 |
| 薄肉形状(1mm以下) | +20〜40% | 樹脂流動調整が困難、金型精度が必要 |
| 異形押出(非対称形状) | +20〜60% | 偏流対策、冷却バランス調整が必要 |
中空断面はパイプやチューブ状の製品に用いられますが、中子を支持する構造が必要です。薄肉形状は軽量化のニーズから増えていますが、樹脂流れのコントロールが難しくなります。異形押出は建材のモール材やシール材に多く見られ、非対称な断面は冷却時の収縮バランス調整が重要です。

金型費用は設計段階での工夫により、大幅に削減できる可能性があります。ここでは具体的な設計指針を紹介します。
肉厚のばらつきは、冷却速度の差による反りやヒケの原因となります。均一な肉厚設計を心がけることで、金型調整の工数を削減できます。
一般的な最小肉厚の目安は以下の通りです。
| 樹脂種類 | 推奨最小肉厚 |
|---|---|
| 硬質PVC | 0.8〜1.0mm |
| 軟質PVC | 0.5〜0.8mm |
| ABS | 1.0〜1.2mm |
| PP(ポリプロピレン) | 0.8〜1.0mm |
これより薄い肉厚も技術的には可能ですが、金型費用と成形難易度が上昇します。機能上必要な場合を除き、推奨肉厚以上で設計することをお勧めします。
鋭角なコーナーは樹脂の流れを阻害し、金型の摩耗も早めます。内角・外角ともにR0.3mm以上を確保することで、樹脂流動がスムーズになります。
また、抜き勾配(テーパー)を設けることで、冷却後の製品離れが良くなります。目安として、片側0.5〜1.0度の勾配を検討してください。これらの配慮が金型寿命を延ばし、長期的なコスト削減につながります。
多くの押出成形メーカーでは、豊富な金型製作実績をもとにVA/VE提案を行っています。他社で「この形状では成形できない」と断られた案件でも、形状の簡略化や材料変更により実現可能になるケースが多数あります。
具体的なVA/VE事例として、以下のようなものがあります。
設計初期段階で専門メーカーに相談することで、最適な断面形状の提案を受けられます。図面確定後の変更は手戻りが発生するため、構想段階での相談をお勧めします。

実際の費用感と、精度の高い見積を取得するためのポイントを解説します。
押出金型の費用は、断面形状のタイプによって以下の範囲が目安となります。
| 断面タイプ | 金型費用の目安 | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| 単純形状(角棒・丸棒) | 15万〜25万円 | スペーサー、支柱 |
| 標準形状(チャンネル・アングル) | 25万〜40万円 | フレーム材、カバー |
| 複雑形状(中空・異形) | 40万〜80万円 | 建材モール、シール材 |
| 高難度形状(多層・硬軟一体) | 60万〜100万円以上 | 機能性パッキン、複合材 |
上記はあくまで参考値であり、使用樹脂・寸法公差・ロット数によって変動します。正確な費用は個別見積でご確認ください。
見積精度を上げるため、以下の情報をご準備いただくとスムーズです。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 図面(2D/3D) | 断面形状、寸法、公差 | DXF、STEP、IGESなど |
| 使用材料 | 樹脂名、グレード | 指定がなければ相談可 |
| 予定数量 | 月産・年産の目安 | 概算で可 |
| 要求公差 | 重要寸法の許容範囲 | 一般公差か厳公差か |
| 二次加工 | 穴あけ、カット、曲げなど | 必要な場合のみ |
特に図面の完成度が見積精度に直結します。手書きスケッチでも形状が分かれば概算は可能ですが、正式見積には寸法入りの図面が必要です。
材料の指定がない場合は、用途を伝えることで最適な樹脂の提案を受けられます。試作から量産・二次加工まで一貫対応している企業では、複数工程をまとめて依頼することでトータルコストの削減が可能です。
押出成形の金型費用は、断面形状の複雑さ・肉厚設計・使用材料によって大きく変動します。射出成形と比較して初期投資を抑えられる点は押出成形の大きなメリットですが、設計段階での工夫によりさらなるコスト削減が可能です。
肉厚の均一化、適切な角R設定、VA/VEによる形状見直しは、金型費用を左右する重要なポイントです。豊富な金型製作実績を持つメーカーでは、他社で断られた難形状案件も積極的に受け入れ、最適な形状の提案を行っています。
金型費用の妥当性判断や、コストダウンの相談は、図面の確定前に専門メーカーへ問い合わせることで最大の効果を発揮します。押出成形による製品開発をご検討の際は、早期段階での相談をお勧めします。
押出成形に関するご質問や課題がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 材料選定から工程設計、QA/QC体制の構築まで、長年の実績を生かした最適なご提案をさせていただきます。

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